性感染症

性感染症を放置することで、不妊症や流産・早産の原因になったり、妊娠中の感染で母子感染したりと、命にも関わる重大な健康被害につながりかねません。自分とパートナーを守るためにも、将来の家族計画や生まれて来る赤ちゃんのためにも、性感染症についての正しい理解が必要不可欠です。

主な性感染症の種類と検査・治療

種類特徴と症状感染経路潜伏期間検査治療
クラミジア

女性の約80%が無症状で経過するが、黄色いおりものや不正性器出血が起こることもある。男性の約50%に排尿時痛や陰部の掻痒感があらわれる。
放置すると子宮頸管炎や子宮内膜炎、卵管炎などの炎症性疾患に進行し、将来的に不妊症や流産・早産につながる。

性的接触を介する粘膜との直接接触 1~3週間 性器からの分泌物や尿、口腔内からの抗原検出・核酸検査(PCR) 抗菌薬
性器ヘルペス

性器の不快感・掻痒感の後、水泡やびらんが出現。痛みを伴う。
放置すると数週間で症状は自然に治るが、再発を繰り返す。出産時に胎児に感染することがある。

性的接触を介する皮膚・粘膜の病変との直接接触 2~10日 病変部からのウイルス分離、抗原検出・核酸検査(PCR) 抗ヘルペスウイルス薬
淋病

女性はおりものの増加や不正出血、あるいは症状が軽く気付かない事が多い。
男性は排尿時痛があらわれる。
不妊の原因になったり、母子感染により新生児が淋菌性結膜炎になる事がある。

性的接触を介する粘膜との直接接触 2~7日 性器からの分泌物や尿、口腔内の病原体分離培養、核酸検査(PCR) 抗菌薬
梅毒 感染したところの皮ふや粘膜に、しこりが出来、その後しこりの中心部が硬く盛り上がる。その他円形のあざ、赤茶色の盛り上がったブツブツ、脱毛症状もありますが、現在ではほとんどみられません。 性的接触を介する皮膚・粘膜の病変との直接接触 約3週間 血中抗体検査、病変部から病原体を確認(顕微鏡観察) 抗菌薬
後天性免疫不全症候群(エイズ) 感染後2~3週間後に頭痛・発熱など風邪のような症状があらわれる。数週間続いた後、数年~10年間の無症状期に入る。
治療薬の改善により最近では発症を抑えることができるので、早期発見が大切である。
血液や体液との直接接触 平均10年 血中抗体・抗原・遺伝子の検出、病原体の核酸検査(PCR) 抗HIV薬
カンジダ 女性は外陰部の掻痒感とおりものの増加を認める。
放置しても治らず、再発・再燃を繰り返す。男性は無症状のことが多い。

性的接触を介してうつるが、発症しないこともある 不定 病原部からの胞子や仮性菌糸の検出(顕微鏡観察)、病原体の培養 抗真菌剤の軟膏・膣錠・経口薬

性感染症に関するよくあるご質問

Q

性感染症の検査は保健所でも受けられますか?

A

エイズ検査は全国の保健所で匿名・無料で受けられますが、その他の感染症は保健所によって受けられないところがあるので注意が必要です。もし何らかの感染症が発見された場合、保健所では治療はできないので、医療機関を紹介されます。このタイムラグを考えると、何らかの症状がある人や感染の機会があったと思う人は、はじめから婦人科の医療機関にご相談いただいた方が早期発見・早期治療につながると考えます。当院では、こちらで治療が出来ない感染症が見つかった場合でも、すみやかに専門の医療機関をご紹介いたします。

Q

受診の時期はいつ頃がいいですか?

A

エイズ検査の場合、感染の機会があった時から3ヶ月経っていることで確実な結果が得られます。しかしそれ以前(3ヶ月未満)の検査では、たとえ感染していても血中HIV抗体が陰性と判定されることもあります。ですから、感染の機会から3ヶ月以内に陰性であっても、確実に陰性であることを確認するなら、3ヶ月を過ぎてから再検査する必要があるということです。
その他の感染症の場合、症状が現れている時に来院されると良いです。陰部や膣は洗浄せず、そのまま受診してください。

Q

パートナーにも受診をすすめるべきですか?

A

もちろんです。ご自分だけ治療しても、パートナーが感染していれば再度感染してしまいます。知らないうちに感染者を増やさないためにも、パートナーも早急に検査・治療を受けて下さい。